三峰口駅〜大輪〜秩父湖〜栃本関所跡〜川又 約20Km

久しぶりの荒川ウォーキングである。昨年の12月に西武秩父から三峰口まで歩いたが、その後「奥の細道」にかかりきりになり荒川まで気が回らなかった。秋になりふと荒川のことを思い出した。この秋のうちに三峰口から荒川の源流点である甲武信岳まで歩いてみようか。ちょうど紅葉の真っ盛りの頃に山道を歩くのも悪くない。というわけで、その第一歩として9月23日に三峰口駅から二又まで歩いた。

池袋発7:36の西武快速急行を利用して西武秩父に出、御花畑駅で秩父鉄道に乗り換えて三峰口駅に着いたのは9:48。ここからは秩父湖行きのバスが出ているが、今日はこのバス道をはじめから終わりまで歩くことにする。
駅前の道をしばらく歩くと白川橋を渡る。眼下には荒川が流れている。橋から眺めると下流側には河岸段丘が広がり人々が生活する集落が見えるが、上流側はV字谷が迫り厳しい環境となっている。秩父鉄道がここでストップしている理由もよく分かる。

荒川の刻んだV字谷に沿って1本の街道が通っている。かつての秩父往還、現在の国道140号線である。かつての秩父往還は、雁坂峠を越えて甲州に達する甲州路と十文字峠を越えて信州に達する信州路に分かれ交易路として栄えた。現在の国道は平成10年に雁坂トンネルが開通し、埼玉、秩父方面と甲州を結ぶ幹線道路となっている。街道沿いの民家、苔むしたお地蔵様など時代を感じさせるような風物も残っている。

三峰口駅から約1時間半ほどで大輪(おおわ)に到着する。ここは三峰山への登山口であり、ロープウェイもここから出ている。山頂には三峰神社があり、現在でも多くの人が参詣に訪れている。今日は休日なので、バスが着けばこの辺は人であふれかえるのだろう。私が着いたときはハイキング姿の人が2,3人見られるだけだった。

大輪からさらに30分くらい歩くと「道の駅・大滝」に着く。ここには物産販売店、食堂などのほかに「大滝温泉・遊湯館」がある。日帰りの温泉として人気があるようだ。

さらに少し歩くと大滝総合支所の建物が見えてくる。かつての大滝村役場だ。大滝村は平成17年4月1日をもって荒川村、吉田町とともに秩父市と合併した。総合支所の前に大きな観光マップがあった。旧大滝村は観光見所の多い地区である。雁坂トンネルの開通により甲州側に通り抜ける人が多くなったが、じっくりと見たいポイントがたくさんある。今回は荒川沿いの旧秩父往還を歩いたので、観光マップに川又までの主な見所を入れてみた。

大滝総合支所の少し先で荒川は中津川と合流する。国道140号線は中津川沿いに進み旧秩父往還は荒川沿いに進む二つの道は川又で再び一緒になり雁坂峠に向かう。この間の国道140号線は雁坂トンネルの開通にあわせて作られた新道である。

道の駅大滝温泉から1時間20分ほど歩くと秩父湖バス停に着く。ここからは秩父湖は見えない。このバス停の先に狭いトンネルがあってこれを通過するには相当な時間がかかるので、バスは湖の手前でストップである。歩行者はこのトンネルを通らないで別の道から湖畔に出ることができる。

遊歩道を歩いてゆくと大きなダムが見えてくる。昭和36年に埼玉県最初の多目的ダムとして完成した二瀬ダムである。アーチ式コンクリートダムで高さは95mある。
荒川上流域にはここ以外にも大小さまざまなダムが設置されている。いずれも目的としては@洪水調節、A灌漑、水道用水確保、B発電などである。現在も中津川流域で「滝沢ダム」の建設工事が進行中である(2008年完成予定)。
二瀬ダムの上流部は人造湖となっており「秩父湖」と名づけられている。湖を見渡せる場所にベンチが置いてあったのでここで昼食にした。時刻は13:20、湖を渡る風が爽やかだった。

秩父湖に沿って少し行くと道は二又に分かれる。荒川沿いの道が国道140号線の旧道、山側の道が昔からの秩父往還である。往還沿いには古くからの集落が点在し、秩父湖から川又まではこれらの集落を結ぶバスの便もある。往還沿いには栃本関所跡が残っており、山側の旧秩父往還を歩く。
栃本関は、中山道と甲州街道の間道である秩父往還の通行人を取り調べるために設けられたもので、その位置は信州路と甲州路の分岐点にある。関所の役宅は文政年間二度にわたって焼失し、現在の主屋は幕末に建てられたもので玄関や上段の間、および外部の木柵などにはかつての関所の面影をよくとどめている。昭和45年11月に国の史跡に指定された。

栃本集落は今も急な斜面にへばりつくような形で生活している。この形は昔から変わらないのだろう。関所の先で細い山道が分岐している。これが秩父往還の信州路で現在も十文字峠を越えて信州側に出る登山コースとして残っている。甲州路はこのあと山を下り、川又を経て雁坂峠に向かう。昔は峠を越えるのに徒歩で丸1日かかったが、平成10年に国道の雁坂トンネルが完成し、現在では20分で甲州側に抜けてしまう。民宿のお客もめっきり減った。栃本は時代に取り残されてしまったようだ。

栃本を過ぎると道は下り始め、やがて眼下に荒川沿いを通ってきた道と新国道140号線が見えてくる。川又バス停は国道の脇にある。バス停に到着したのは15:20。秩父湖ダムサイトから約2時間かかった。ここからはバスで今日歩いてきた道を引き返す。バスの発車は16時で、まだ時間があるので次回の偵察のため付近を歩きまわった。次回はここを起点として雁坂峠に向かい、甲武信岳の荒川源流点を目指すつもりである。これには山小屋で2泊を覚悟しなくてはならない。どのルートを行くかは、次回までにじっくりと考えよう。


   



中津川側から見た合流点の様子
国道は中津川沿いに進み、旧秩父往還は少し先で中津川を渡り荒川沿いに進む

荒川と中津川の合流点
左側が荒川、右側が中津川

交通ネックとなっている狭いトンネル
1車線と狭い上にトンネルの中で分岐している。国道新ルートができる前は交通量も多く、1時間待ちなども珍しくなかった

秩父湖バス停付近
この先にある狭いトンネルの信号待ちをしている車が並んでいる。国道140号線の新ルートが完成してからは待ち時間も前より短くなった

信州道(旧道基点)標識
関所の少し先に信州道基点の標識が立っている。現在では十文字峠への登山コースとして利用されている

栃本集落の様子
昔も今も山にへばりつくような形で生活している。雁坂トンネルの開通で民宿のお客もめっきり減ったという

川又バス停付近の様子
坂を下りてきた旧往還はここで国道140号線に合流する。この場所に二又バス停がある

国道140号線新旧道の合流点
国道140号線新ルートは中津川に沿って進んだ後、大峰トンネルを通って旧ルートと合流する

荒川を歩く 12

白川橋より荒川上流を望む
上流側は荒川が深いV字谷を刻んでいる

白川橋より荒川下流を望む
河岸段丘が広がり、集落が見える。右上遠くの山は武甲山

街道脇のお地蔵様
苔むした台座が時代を語る。このほかにも馬頭観音などの石造物が随所に残っている

かつての秩父往還の様子
現在は国道140号線として幹線道路となっているが街道筋には昔の風情も感じられる

街道からは随所で荒川を望むことができる。その水の青く澄んでいること!車でさっと通り過ぎてしまうのはもったいない景観だ。そういえば、どこかに「景観間伐実施林」と書いた看板が立っていた。それだけ荒川の景観保持のために気を使っているということだ。

街道沿いの古い土産物屋
昔からこの辺は三峰山登山口(参道入口)として賑わったのだろう

大輪バス停付近
街道脇に三峰神社の大きな鳥居が建っている。鳥居から登竜橋までの間には土産物屋が並んでいる

三峰山登山口
橋を渡ると三峰神社への登山口(参道)となる。「是より本社五十二丁」の標識が立っている。少し先にはロープウェイ乗り場がある

登竜橋
街道と登山口を結ぶ橋。新しい橋だが、昔からこの場所には橋が架けられていたのだろう

大滝温泉遊湯館
道の駅大滝温泉の中にある。建物は新しくきれいだ
日帰り温泉として人気がある

道の駅・大滝温泉
秩父の物産販売店、食堂などのほかに大滝温泉・遊湯館がある

秩父市大滝の観光マップ

秩父湖
二瀬ダム上流部の人造湖で、秩父湖と名づけられている

二瀬ダム堰堤
昭和36年完成。ダムの高さ95m、ダム堤長は289m。堤の上は道路になっており、三峰神社方面に向かう車が結構多い

関所役宅の様子
現在の主屋は幕末に建てられたもので、その後二階を建て増しするなど改造されたが、玄関や上段の間などには関所の面影をよくとどめている。昭和45年に国の史跡に指定された

栃本関所跡
栃本は秩父往還の甲州路と信州路の分岐点で交通の要衝であり、江戸時代に関所が置かれた

白川橋
荒川にかかる橋。駅からはこの橋を渡って国道140号線(秩父往還)に出る

秩父鉄道三峰口駅
三峰山、奥秩父方面への玄関口だ。駅前からは秩父湖、中津川方面へのバスが出ている