熊谷駅〜元荒川源流〜荒川大橋〜熊谷大橋〜大麻生公園〜六堰頭首工〜荒川橋〜鉢形駅(東武東上線) 約17Km
2004年10月2日(土)、今日の天気予報は快晴だ。前日の夜、荒川を歩くか甲州街道の最終区間を歩くか少々迷ったのだが、秋の快晴にふさわしい荒川歩きのほうを選んだ。
下に降りてまっすぐに歩いてゆくと、小さな橋があり、その下に清冽な水が流れている。橋の脇には「埼玉県指定天然記念物 ムサシトミヨ」の標柱が立っている。これが元荒川で、ここには現在この辺にしかいない「ムサシトミヨ」という魚が生息している。この生息域一帯が県指定の天然記念物になっているのである。付近には民家も迫っており、絶滅から守るためにいろいろと苦労もあったようだ。
元荒川の源流探訪を終え、再び土手の上に戻る。やがて荒川大橋に着くので河川敷に下り、橋の下をくぐり抜ける。橋の辺りは川幅が大きく広がり、水が勢いよく流れている。数日前に台風の影響による大雨が降ったので荒川の水量も大変多い。橋の少し上流側に川の流量監視塔が建っている。上部には監視カメラが設置されているようだ。荒川はこの少し先で西(左側)に大きく流路を変え秩父方面に向かう。
河川敷に設けられた道を進む。この辺は耕作地帯ではなく、自然のままの雑草地帯である。それがしばらく続いた後、前方に整備された広々とした草原が見えてくる。半分草に隠れて「荒川大麻生公園」という標石が建っている。公園といっても運動のできるグラウンドがあるわけではなく、広々とした草原が続くだけである。草原に隣接して森が長く続いている。これがこの公園の「野鳥の森」のようだ。草原の細い遊歩道をのんびりと進む。途中4、5人の人を見かけただけだった。やがて川辺に出ることができ、上流には熊谷大橋が見える。
川辺から上流方向を望む。遠くに熊谷大橋が見える
やがて広々とした草原が見えてくる。「荒川大麻生公園」だ
河川敷の雑草地帯を進む
熊谷大橋は高いところを通っているので、橋の様子はわからないが、見上げた感じでは道幅はそれほど広くないようだ。橋を越えると遊歩道は森の中の道となる。野鳥の森方面への分岐もあるので、時間があれば少し戻って散策してみるのもよいかもしれない。私は時間の関係でそのまま先を続けた。やがて、遊歩道はゴルフ場にぶつかり右に曲がる。
遊歩道はゴルフ場にぶつかる
橋を越えると森の中の道となる
熊谷大橋をくぐる。橋の下に案内標識がある
右に曲がった道をまっすぐ行くと荒川土手にぶつかる。土手のすぐ向こう側には秩父鉄道が走っており、土手が分断されて平面交差の踏切となっている。ここで土手の上に登り、上流に向かって進む。少し先に海から80Kmの標識が立っていた。左手には先ほどのゴルフ場が広がり、右手すぐ脇には秩父鉄道が走っている。
堤防の左手はゴルフ場。右手には秩父鉄道が走る
堤防上の道を進む(海から80Km標識付近)
堤防が分断され、道は鉄道線路を渡る
土手の上の道を快調に進む。今日の天気は快晴である。吹く風はすっかり秋風で、涼しい。彼岸前の前回とは大違いである。しかし、今日はぜんぜん日が翳らない。日差しはまだまだ強く、風が止むと結構暑くなる。たまに木陰があると、ホッとするような状況だった。やがて、前方に秩父鉄道の大麻生駅が見えてきた。さらに進むと押切橋があり、その下を通り抜けてしばらくすると、たくさんのテトラポッドがごろごろした河原に出る。明戸(あけど)河原である。
明戸河原の上流部は堰になっており、水が勢いよく流れ落ちていた。上流側はせき止められた水を満々と湛え対照的な光景を見せている。ここで時計を見るとちょうど13時。今日は少し遅くなったが、この風景を見ながら堤防に腰掛けて昼食をとることにした。
昼食もすみ、また元気に歩き始める。これまでと同じような遊歩道がしばらく続き、やがて行き止まりになる。ここで熊谷市は終わり、ここからは川本町になる。右に曲がると舗装した一般道が続いているのでそちらを進む。この道にも少し先に「ふれあいロード 川本町」の標柱が立っていた。道なりに進んでゆくと、菅沼天神社を経て荒川べりに出ることができる。この川辺に「ここは白鳥の飛来地です・・・特に釣り針、釣糸等川に捨てないでください」という看板が立っていた。
川沿いの道をさらに進むと、植松橋が見えてくる。ふれあいロードは植松橋を渡って対岸に続いているようである。5年前にこのコースを歩いたときはこの橋を渡って対岸の道を歩いたのだが、なかなか川に近づけなかった記憶があるので、今回は橋を渡らずにそのまま川辺の道を進むことにする。農道であまり整備されていないが、やがて前方に水管橋が見えてくる。この橋をくぐって少し行くと、道は川にさえぎられて行き止まりになってしまう。ここは水管橋の手前で早めに川辺を離れて並行して走る国道に出たほうがよい。
国道140号線に出て少し行くと、左に曲がる新しい道がある。これを曲がってすぐのところに「六堰頭首工(ろくせきとうしゅこう)という新しい施設ができている。5年前に付近を歩いたときにはまだ工事中で、このような姿はまったく現れていなかった。現在はこの施設に平行して橋がかけられ、荒川を渡ることができる。これから先は、この橋を渡って対岸を歩くことにする。

私がこの橋を渡って対岸に移ったのには理由がある。一つはできるだけ国道を歩きたくなかったことと、対岸(荒川右岸)には東武東上線が走っており、時間の都合で寄居駅までたどり着けなくても、途中で東上線の最寄駅で乗車できると考えたからである。というわけで、荒川右岸を歩き始める。これから先には川沿いの遊歩道といったものは整備されていないので、川からできるだけ離れないように大雑把な地図と勘を頼りに歩き進める。やがて、前方に関越自動車道の荒川橋が見えてくる。この橋を越えるまでと越えてからしばらくは道が分かりにくく、時にはあぜ道を歩くようなところもあったが、それを過ぎると道は分かりやすい一本道になる。付近にはセメント会社などもあり、時々ダンプなども通る。ようやく今日の最後の橋、花園橋が見えてきた。

花園橋。今日の最後の橋だ
荒川橋を越えた先で、道は一本道になりわかりやすくなる
前方に荒川橋(関越自動車道)が見えてくる
花園橋を過ぎても川沿いの一本道は続いているが、やがて行き止まりになる。そこから細い坂道を登ってゆくと舗装された道に出、小園集落に入ってゆく。道なりに進むと、川の博物館への案内表示があり、それに従ってゆくと東武線の線路にぶつかる。ここまでくれば、後は線路に沿って歩いてゆけば東武東上線の鉢形駅に着く。途中に埼玉川の博物館への案内表示もあったが、今日は時間もないので駅に直行した。博物館は次の機会にしよう。駅に着いたのは16:30頃。ここから池袋までは1時間半程度である。

熊谷駅の南口からまっすぐ川に向かって道がのびている。この道を500mくらい行けば荒川土手にぶつかる。土手の上を下流方向に少し戻ると、道がゆるく右手にカーブしているのが見えてくる。昔の荒川は、ここで右手に曲がらず直進して、利根川に合流したのち江戸に流れ込んでいたのだという。徳川家康が江戸に入府後、荒川を西に、利根川を東に付け替えるという壮大な「瀬替え」が行われたのである。現在、この古い荒川が、「元荒川」として残されている。
ちょうどカーブする辺りの左手に水槽がたくさん並んでいるのが見える。これは埼玉県水産試験場の施設である。ここでは、イワナ、ヤマメなど冷水性魚類の研究養殖が行われており、その育成のためここで1日約3000トンの水が汲み上げられている。これに近くのマス養殖業者などの汲み上げる地下水が合流して現在の元荒川の水源になっているのだ。荒川は瀬替えされたが、地下水脈はそのまま残っており、地下水が豊富なのだという。ここから100mくらい先に細い道がついているので、土手下に降りる。
左手に埼玉県水産試験場の水槽が見える(元荒川の水源となる地下水を汲み上げている)
荒川が右手にゆるくカーブする地点(下流方向を望む)
荒川を歩く 7
この辺りには「ムサシトミヨ」が生息している
民家の脇を流れる元荒川 (源流付近にて
ムサシトミヨ (参考)
トゲウオ科の小さな魚。成魚になっても体長6cmくらい。冷たく澄んだ水の中しか生きてゆくことができない大変デリケートな魚。かつては荒川、多摩川水系の湧水にたくさん生息していた。しかし、昭和30年代から次第に湧水が涸れ、各地でムサシトミヨは行き場を失っていった。現在では湧水が涸れることのなかった熊谷市の元荒川にしか生息していない。
しばらく目を凝らしてみたが、魚影は確認できなかった
荒川大橋の辺りで川幅が大きく広がる
荒川の流量監視施設。この先で荒川は流路を大きく西に変える
明戸河原
押切橋の下をくぐりさらに進む
堰堤上流側の様子
明戸河原の堰堤
川本町の荒川べり。「白鳥飛来地」の看板が立っている
川本町「ふれあいロード」は菅沼天神社を経て川辺に出る
植松橋先の水管橋
植松橋。上流側に「植松河原釣り場」の看板あり
橋から下流の水管橋、植松橋方面を望む
新しい「六堰頭首工」と併設された橋
新六堰頭首工の全景(2003年春完成)
六堰頭首工 (ろくせきとうしゅこう)
「頭首工」は農業用水を取水する堰のことである。同じような施設に「取水堰」があり、こちらは上下水道や工業用水を取水するものである。
「六堰」は六つの堰を統合したことに由来している。これは昭和14年に完成し、以来60年にわたって改修を続けながら周辺に農業用水を送りつづけてきた。しかし、近年になって周辺の環境が大きく変わり、国と埼玉県が共同して、平成10年(1998年)新しい頭首工の工事に着手し、平成15年(2003年)春に完成したものである。新しい施設だけに、緩勾配魚道などがモデル事業の一環として整備されている。



東武東上線、鉢形駅には16:30頃到着
東武線の線路が見えたときは、正直ホッとした