イギリス旅行 第1日目

温泉の湧く町バースを経てコッツウォルズ地方のカッスルクーム、バイブリーを巡り、バーミンガムへ


この日はまず、ロンドンから古い温泉保養地バースに向かい、ローマ時代の大浴場遺跡などを見学する。その後、コッツウォルズ地方の「世界で最も美しい」と讃えられる村々のうち、カッスルクームとバイブリーの二つの村を訪れる。宿泊地はバーミンガムである。


ロンドンからバースへ.。途中のサービスエリアで道路地図帳を購入する
この日はロンドン ヒースローのホテルを8時半に出発した。バスはすぐに高速道路に入り、一路西に向かって走る。途中、COSTAというサービスエリアで休憩したが、ここのショップで私はイギリスの道路地図帳を見かけた。「SPECIAL OFFER £3.99」と大きく表紙に書いてある。700円たらずだ。「安い」と思って即座に買い求めた。これは帰国後、写真などとつき合わせ、情景を思い出すのに役に立っている。自分の通ってきた道が、地図の上で大体つながるのは楽しいものだ。

バースからコッツウォルズ地方へ
バースのレストランで昼食を済ませ、バスでコッツウォルズ地方へ向かう。バースから一般国道を北東に進んでゆくと、バスの車窓からは緩やかな起伏を持った緑の丘陵が見えてくる。コッツウォルズ地方は、かつては羊毛産業で栄えたが、産業革命から取り残され、鉄道も敷設されなかった。このため、自然や中世の家並みが昔のままの姿で残り、「世界で最も美しい」と讃えられる村々が点在するエリアになった。今回のツアーではこれらの中からカッスルクームとバイブリーを訪れた。

カッスルクームの家並み
バスはバースから40分ほど走って、カッスルクームの村はずれの駐車場に着いた。我々はここで降りて村を巡る散策に出発する。村の中心に昔、市の立った広場(マーケット・クロス)があり、そこから道の両側に素朴な家並みが続いている。家の色はみな同じ「はちみつ色」である。これはこの地方で採れる「コッツウォルド・ストーン」という蜂蜜色の石材で造られているためだという。家の前や窓にはそれぞれ思い思いに花を飾っている。まるで絵のような家並みだ。メインの通りを進んでゆくと、はずれに小さな教会が建っている。ここまで村の人達の姿はほとんど見かけなかったが、日曜日にはここに村人が集まってくるのだろう。教会から別の道を通って、先ほどの市場の広場に戻る。はじめは気がつかなかったが、ここにはレストランやホテルなどがあり、旅行者の姿が見えた。

カッスルクームからバイブリーへ
カッスルクームの見学が終わり、次のバイブリーに向けて出発したのが15:20。またしばらくの間、一般国道を走るバスの車窓からコッツウォルズの自然を眺める。どこまで行っても、のどかな田園風景である。車窓からは、何を作っているのかはよく分からない。イギリスは大陸に比べ寒いので、農作物はジャガイモや大麦、小麦などが主だという。ブドウは育たず、ワインは生産できないが、ホップがとれるのでビールは出来る。コッツウォルズ地方は、昔は羊毛業で栄えたというが、バスの車窓から見た限りでは、羊の放牧はあまり見られなかった。

バイブリー
カッスルクームから1時間以上走って、バスはバイブリーに到着した。バスはきれいな川のほとりに止まった。川の水は澄み、白鳥や黒鳥、カモなどが泳いでいる。川の向こう岸に古い建物が並んでいるのが見える。小さな橋を渡ると、少し先に石造りの小さな同じような家が見えてくる。よく見ると、これらの家々は皆つながっており、長屋のような感じになっている。これが、バイブリーでの見所「アーリントン・ロウ」である。アーリントン・ロウとそれに続く家並みを過ぎ、再び川を渡って村の中心部方面に出る。ここにも小さな教会がある。自動車道路に出て、バスの止まっているところまで戻るが、途中にイギリス国旗を掲げた建物が見えた。ガイドブックの地図で見ると、これはビレッジ・ホールのようだ。村の中を1時間近く見物して、バスに戻ったのは17:20頃だった。

バース郊外、ロイヤル・クレッセント
ロンドンからトイレ休憩を入れて2時間半で、バース郊外のロイヤル・クレッセントに着いた。これは18世紀に建てられた三日月形の壮大なテラスハウスである。現在、建物の一部が博物館になっているようだ。我々は建物前の広々とした芝生の広場から写真を撮って、バスにもどった。バスの停車しているすぐ前が花の公園となっており、白とピンクの花がきれいだった。この時期、イングランド内どこへ行っても花壇やフラワーポットには花々が咲き乱れている。

購入したイギリスの道路地図帳
見開きで、広げるとB3サイズよりひとまわり大きく、見やすい。全118ページでブリテン島全域をカバーする。価格は3.99ポンド(約670円)

高速道路のサービスエリアCOSTA)
イギリスでSA(サービスエリア)というのかどうか分からないが、高速道路の脇に軽食施設やショップなどがある

ロイヤル・クレッセント
18世紀に建てられた、ジョージ王朝時代を代表する建築物。建物が三日月形(クレッセント)となっている。現在、一部は博物館として使用されている

付近の花壇
ロイヤルクレッセント付近の公園の花壇。背の高いフラワーポットは、英国内でこれからもよく見られる

ローマン・バス博物館
ロイヤルクレッセントからバスでバース市街の中心部にあるバース寺院、ローマンバス博物館に向かう。バスから降り、町を歩いてゆくとバース寺院が見えてくる。寺院前の広場には観光客が大変多い。寺院のすぐ向かい側にローマンバス博物館があり、我々はこの博物館に入館し見学した。
ここは、1世紀に築かれたローマ時代の大浴場跡である。ローマ人が去った後、浴場施設は長い間土の中に埋もれていたが、18世紀になって貴族の保養地として復活した。このときに、ローマ時代の大浴場が「グレート・ローマンバス」として再現され、現在、博物館のメイン施設として見ることができる。ローマ時代の遺跡が発掘されたのは比較的新しいが、下に降りるとこれらを見学できるようになっている。
入館すると一人ずつ音声ガイド装置が渡され、日本語の説明を聞くことができる。順路にしたがって見てゆくと、まず二階からグレート・ローマンバスの全体の姿を眺めることになる。かなり大きな浴場で、プールのようである。実際、ここの温度は33〜36℃くらいで泳ぐのにちょうどよかったようだ。また、この大浴場のほかに、サウナやトルコ式風呂など小さい浴場もいくつかあり、こちらに入浴した後、この大浴場で泳いだのかもしれない。

グレートローマン・バスの様子
二階からローマンバスの全体が見える。これは18世紀になって再現されたもので、貴族たちの保養施設として利用されたものである。ここでお湯につかりながら泳いだようだ

バース寺院前広場の様子
正面がバース寺院。756年に創設され、現在の建物は1617年に完成した大きな寺院である。右の建物がローマン・バス博物館

ローマンバス遺跡
紀元40年頃、ローマ人がやってきたとき、この地にはケルト人が住んでおり、温泉は病気を癒すことを知っていた。ローマ人はケルト人の女神「スリス」と、ローマの女神「ミネルヴァ」を融合した「スリス・ミネルヴァ」神を祭る神殿を建てるとともに、ローマ人好みの大浴場を建設した。ローマ人が去った後、近くのエイボン川の氾濫などにより設備はやがて崩れ、その上には土砂が5メートル近くも積もってしまった。その遺跡が発掘されたのは近年になってからで、遺跡の全貌を知ることは困難なようだ。
博物館の1階及び地階には、ローマ時代の浴場施設の推定再現模型や発掘された遺構、遺物などが展示されている。印象に残ったのは下の写真のようなものである。

バース市街の様子
ローマンバスの見学を終わったあと、少し付近を散策した。バースはイングランドの中でも有数の観光地である。温泉の街と言われながらもバースには、これまで見学施設しかなく、入浴できる施設はなかったのだが、最近(2006年)になってようやく近くに天然温泉を利用した本格的な「スパ」が誕生した。イギリスには火山がなく、温泉はほとんどないので、新しい名所になっているようだ。
イギリスの町ではどこでもそうだが、人の多い街路には花を盛ったフラワーポットがいたるところに設置されている。我々が通りかかったとき、作業車が来てポットに水遣りをしていた。作業員が先の曲がった長いパイプで花の上からていねいに水をかけている。花を新鮮に保つために、絶え間ない努力が続けられていることがよくわかった。

バース市街の様子A
街路にはいたるところに背の高いフラワーポットが設置されているが、ちょうど作業車が来てポットに水遣りをしていた

バース市街の様子@
見学施設しかなかったバースの街に本格的なスパ施設が2006年に誕生した(サーメ・バース・スパ、右手の建物)

マーケット・クロス
ここは村の中心、マーケット・クロスといわれる場所である。昔はここに市が立ったのだろう。近くにはレストランやホテルがあり、旅行者で賑わう場所である

ローマ時代の神殿前の祭壇
神殿前の境内に置かれた生贄用の祭壇跡。再現模型を見ると、神殿は比較的小さなもので、その前に置かれている

ローマンバスの源泉
常に46.5℃の湯が湧出している。ローマ時代にはここで首まで浸かって病人が療養したと言われている

女神スリスの頭部像
ケルト系先住民の女神「スリス」の頭部像。神殿のペディメントに描かれていたもの

コッツウォルズ地方の車窓風景@
かつては丘陵を利用して羊を育て、羊毛産業が発達したが、産業革命により、この地方の産業は寂れた。現在では美しい自然と人々の素朴な暮らしが観光資源として人気を集めているただ、広い地域に点在しており、交通の便も悪いので、車による観光が主体となっている

マーケットクロスからのびる村の道
はちみつ色の同じようなつくりの素朴な家が建ち並んでいる。家々の前に飾られた花々が印象的だ

マーケットクロス前のレストラン兼ホテル
シーズン中の週末などはホテルはいつも満員だという

村の教会、聖アンドリュース教会
どんな小さな村にも必ず教会はある。カッスルクームの村の教会。現在でも村人の重要なふれあいの場なのだろう

コッツウォルズ地方の車窓風景A
カッスルクームからバイブリーに向かう途中の車窓風景。広々とした田園風景が続く。手前の黄色い部分は広いが、何だろう。遠くの緑の作物はジャガイモのようだ

アーリントン・ロウ
古い石造りの家が一列に並んでいる。皆つながっているので、長屋のようなものだろうが、画一的でなく、それぞれに趣がある

コルン川と向こう岸の古い家並み
澄んだきれいな川で、白鳥やカモなどが泳いでいる。少し上流にはます釣り場があるという。川の向こう岸に古い家並みが見える

バイブリーの中心部
自動車道路に面し、ビレッジ・ホールなどが建っている
このあたりが村人の集まる中心部なのだろうか

バイブリーの聖メアリー教会
村の中心付近にある。敷地内には墓地があり、きれいな花が植えられている。典型的な村の教会だ

バイブリーからバーミンガムへ
バイブリーからは、一路バーミンガムに向かう。バスの中ではビートルズのMDを聴きながら、いつの間にか眠ってしまった。バーミンガムのホテルに着いたのは19:30頃だった。夕食は部屋に荷物を運んだあと、ホテル内のレストランでとった。