フランス大周遊の旅

第6日目 (4月14日) トゥール〜モンサンミッシェル

今日は、行程表によればトゥールからモンサンミッシェルまで309Km、約4時間のバス旅だ。昼から半日、モンサンミッシェルの観光となる。
モンサンミシェルは、NHKの「世界遺産」の人気投票で第2位になったとバスの中で聞いた。私はモンサンミッシェルの番組は見逃していた。人気第2位と聞けばますます期待が高まる。ちなみに、人気投票第1位はペルーのマチュピチュだったという。

トゥール〜モンサンミッシェル

今日も8時にホテルを出発した。少し走ると大きな川を越えた。これがフランスで一番長いロワール川だ。やがて高速道路に入る。昨日と同じような緑の草原が続き、時折、遠くに小さな教会の尖った塔が見える。ちょっとした集落には必ずといってよいほどこのような教会が建っている。フランスは敬虔なカソリックの国だ。2時間近く走って、そろそろ途中のパーキングエリアでトイレタイムになるはずだが、バスは高速を下りてしまいそのような気配がない。後で添乗員に聞いた話では、このときバスの運転手は高速のパーキングエリアを通り過ぎてしまい、戻ろうと思って一般道路に下りたら道が分からなくなり、周辺をさまよってしまったという。

結局バスは元の道には戻れず、とある町の街角に停車し、近くのバーのトイレを借りることになった。店の人は驚いたでしょうね。観光バスが停まるような町ではないのに、バスが停まったと思ったら人が降りてきて、トイレを貸してほしいというのだから。快く貸してくれたのだが、借りる方もチップを払ったり何か物を買ったりと気を使いながら使用させていただいた。トイレの数も少ないし、結局ここに30分くらい停車していた。停車している間に運転手も地図を確認したのだろう。そこを発車してからは迷う風もなく運転していたが、乗客の信頼は一挙に失なわれてしまった。それから先は高速道路が工事中とのことで、、一般道路でル・マンの町を通り過ぎようやくモンサンミッシェルへの行き先表示板が見えてきた。

モンサンミッシェル

ようやくバスの車窓から遠くにモンサンミシェルの特徴ある姿が見えてきた。そこから少し走ったところにレストランがあり、まずは昼食となる。到着は予定より約1時間以上の遅れである。食事の前に添乗員さんから「ワンドリンクをサービスいたします」というアナウンスがあった。「ワァー」とどよめいて、それまで乗客の間にくすぶっていた不満が一気に解消され、いつもの楽しい雰囲気になった。メニューは、サラダ、オムレツ、プルーンのケーキ。このときのオムレツにはビックリした。大きなお皿いっぱいに巨大なオムレツが乗っていて、それを店員がめいめいの皿に取り分ける。。食べてみるとふわふわで、中身は卵のしろみとクリームを泡立てたものだという。味はまあまあといった感じだが、これまでのオムレツの常識を破るようなものだった。昼食も終わり、再びバスに乗りモンサンミッシェルの入口まで行く。

モンサンミッシェルは現在は道路でつながっているが、かつては海に浮かぶ岩山の小島だった。この岩山に大天使、サン・ミッシェルを奉る聖堂ができたのが708年。その後、山は大規模な巡礼地になり、修道僧が多数居を構えるようになった。島は次第に城塞化され、英国との100年戦争にも侵攻されることはなかった。このことからモンサンミッシェル修道院は、軍事建築の代表例とも言われるほどだ。しかし、領民に対する「税」の取立てなどが厳しく、領民からは恨まれたらしい。フランス革命後は修道会は散会され、修道院は牢獄に使われたりしたが、1874に歴史建造物に指定され、修復工事が行われて現在に引き継がれている。なお、1979年にはモンサンミッシェルはユネスコの世界文化遺産に指定された。

トイレを借りた街角のバー
旅行から帰ってからフランスの道路地図を買って調べてみたが、結局何という町かは分からなかった

ル・マンの町を走り抜ける
走っているときは分からなかったが、ここは自動車レースで有名なル・マンの町だ

モンサンミッシェルをバックに記念撮影
かつては島だったモンサンミッシェルも現在は埋め立てられ、陸続きとなっている

岩山の上に建つモンサンミッシェル修道院
この修道院は、ピラミッド型の山の形を考慮しながら、花崗岩の周囲を包み込むような形で建てられている

島内に入ると狭い路地が続き、両側にはみやげ物店やレストランなどが並んでいる。少し先に修道院方面に登ってゆく階段がある。結構長い急な階段を登ってゆくとようやく修道院の入口に着く。修道院まで登ってくると、下の商店街の喧騒とは別世界が広がっている。海の方を見るとちょうど干潮で、遠くまで干上がっているのが見える。埋め立てて道路を作ったのが自然環境に影響を与え、干潟化が進んでいるのだろうといわれている。

島についてからは、フランス人の女性ガイドさんが案内してくれる。日本語はできないので、添乗員さんが通訳してくれるのだが、現地の人でなければ知らないようなこともいろいろと教えてくれた。最上階の教会堂を見学し、回廊を通ってかつての食堂に来たとき、「この部屋はとても音響効果がいいのですよ。誰か歌ってみませんか」と我々に声をかけた。誰もいないので、それでは私が歌いましょうとすばらしい歌声を聞かせてくれた。昔はこの部屋で食事のとき当番の僧が聖書を詠唱し、その間他の修道僧たちが黙々と食事をした。そのため音響効果にも配慮がなされているのだという。
建物のテラスに出たら、たまたま白い服の聖職者に先導された人たちが階段を登ってくるのが見えた。ガイドさんによると、これは巡礼の人たちだという。今日はイースターの前々日の金曜日、キリストが磔にされた日である。ちょうどその日に木の十字架を手にした巡礼者たちがここに到着したのだ。

階段下から見上げる修道院
修道院までは結構長い階段を登ってゆく

島内の商店街
修道院に登ってゆく階段までこのような商店街が続いている

修道院の見学を終え、島内の店でみやげ物などを買いながらバスに戻ってみて驚いた。運転手が代わっているのだ。リヨンでのことといい、今日のことといい乗客に迷惑をかけたのだからやむをえないこととはいえ、会社のやることは素早かった。
島からホテルまではゆっくり歩いても15分ぐらい、バスに乗ればすぐである。ホテルから島までは緑の草原が続き、部屋からもモンサンミッシェルの全景がばっちり見える。各部屋には小さなテラスもあり、モンサンミッシェルを望みながらコーヒーを飲んだことは最高の思い出となった。テラスでのくつろいだひとときを過ごしてから夕食となった。メニューは、スープと白身魚、洋ナシのムース。
夕食後、私はカメラを持ってモンサンミッシェルに向かった。20時頃で、そろそろ海が満潮になる時刻だ。暗くなると修道院のライトアップもされるという。妻はテラスでワインを飲みながら見ているからいいと言ってこなかった。
島に近づいてゆくと、潮がだんだんと満ちてくるのが分かる。昼間駐車場だったところも低いところはすでに潮に洗われている。これで空が夕日に染まっていれば最高なんだけどなどと思いながら、シャッターを切る。やがて日もとっぷり暮れ、修道院のライトアップが始まった。21時頃だった。

巡礼者の行列
今日はイースターの前々日。巡礼者が十字架を手に巡礼地に集まってくる。ちょうどその行列が登ってきたのだ

音響効果のよい食堂
この部屋では、一人の僧が詠唱を行い、その間他の修道僧は黙々と食事をしたのだという
フランス人ガイドさんがすばらしい歌声で音響効果を証明してくれた

ライトアップされたモンサンミッシェル修道院
日が暮れると修道院の建物がライトアップされた
(21時頃)

海に写るモンサンミッシェル
昼には干潟だったところに潮が満ちてきて、前とは違う風景を見せてくれた(20時頃)

このツアーのコースは、モンサンミッシェル島内に宿泊するコースと我々のように島外に宿泊するコースの二つに分かれていた。初めてのところなのでどちらがよいかは分からず、とりあえず私たちは日程の都合からこちらのコースを選んだのだが、結果としては正解のような気がした。ホテルの周りには何もないが、ホテルの部屋、テラスからモンサンミッシェルを眺めることができるというのが最大の理由である。我々が泊まったホテル(ルレ・サン・ミッシェル)は、島から直線的に一番近いのではないかと思われる。なお、ガイドブックによれば、島内には8つのホテルがあり、いずれも通りに面し、1階はレストランを経営しているという。どちらを選ぶかは個人の好みというしかないだろう。(右写真はホテルテラスからのモンサンミッシェル)

とんがり屋根の教会のある風景
ちょっとした集落には必ずこのような教会が建っている
フランスは敬虔なカソリックの国だ

車窓から眺めたロワール川
長さ1000Km、フランスで一番長い川だ