野川は国分寺市の恋ヶ窪付近を水源とし、「国分寺崖線」(いわゆる「はけ」)に沿って流れる川。「はけ」から流れ出る湧水を集めて流れ下り、世田谷区の二子玉川で多摩川に合流する。全長約20Km、沿岸はほとんど全区間遊歩道が整備され、特に、小田急線の喜多見付近から小金井市付近までは川辺のすぐ近くの自然道を歩くことができ、都内の中小河川の中では貴重な存在となっている。
大池の水は、構内数ヶ所の湧き水が流れ込んだものである。その水があふれ、池尻の水路からJR中央線の下をトンネルで潜り抜け、野川の流れへと続いている。

   大池最終放流量(説明版による)
     豊水期 10,000 g/分 
     渇水期   400 g/分
    
多摩川合流点(田園都市線二子玉川駅)〜喜多見(小田急喜多見駅)〜国領〜野川公園(西武多摩川線新小金井駅)  約15Km 
野川は5年程前に一度歩いているのだが、記憶が定かでない部分もあるので、源流探訪にあわせて、もう一度多摩川の合流点から歩いてみることにした。
田園都市線の二子玉川駅で下車し、多摩川土手に出る。土手のすぐ下を流れている細い川が野川である。多摩川との合流点は、鉄橋から下流方向に向かって600mくらい歩いたところにある。鉄橋より少し上流側には、野川を渡る小さな橋(兵庫橋)がある。これを渡ると、多摩川と野川の中洲となっており、その先端が多摩川と野川の合流点である。ただし、こちらのほうは多摩川の分流が野川に流れ込んでいる個所があり、先端までは行けない。なお、中洲の先端付近は4月から8月まで、絶滅の恐れのあるコアジサシの繁殖地になるので、立ち入らないようにという立て札が立っていた。
中州の先端付近まで行ったあと、兵庫橋に引き返す。兵庫橋の先の橋とその周辺は工事中で通れないので、再び兵庫橋を渡って野川左岸に移る。少し一般道を歩いてから吉沢橋で右岸に渡る。(右岸、左岸は上流から下流に向かって右、左です)
小田急線の高架工事個所を抜けると、周囲の民家が少なくなり、その分川岸を含めた川全体の幅が広くなる。したがって、水辺のすぐ近くに細い道がつけられ、自然のままの土の道を歩くことができる。これは、これから先ずっと、小金井市付近まで続いている。これから先が野川の面目躍如たるところである。
野川公園〜武蔵野公園〜貫井神社〜真姿の池・お鷹の道・国分寺跡〜国分寺駅 約7Km   
2004年春のお彼岸の日、妻と二人で多磨墓地にお墓参りに行った。お参りの後、一緒に野川まで歩くことにした。多磨墓地の裏門から北に向かってまっすぐ歩けば、500mくらいで野川の流れにぶつかる。少し下流方向に歩いてゆくと、都立武蔵野公園になる。武蔵野公園は野川公園と隣接しており、西武多摩川線の線路を境に上流側が武蔵野公園となっている。規模としては野川公園のほうがずっと広大である。
公園のベンチに腰掛け、コンビニ弁当を食べる。やや風が肌寒いが、川を眺めながらの昼食は気持ちがよい。昼食後、妻とはここで別れる。公園のすぐ近くを広い東八道路が走っており、三鷹、調布方面へのバスが通っているので、帰りの足は心配ない。私は、ここから上流に向かって歩き始める。
この後、また野川に戻りその先をたどる。川筋は次第に谷底の木立の中に入ってゆき、道もなくなるので追跡不能となる。仕方がないので、中央線陸橋を渡り、野川の源流を目指すことにする。源流は日立中央研究所の中にあることは知っているので、入れないかもしれないが、ともかく行ってみようと正門の受け付けを訪ねた。
案の定、ここは一般企業の敷地なので関係者以外は立ち入ることはできないとのこと。しかし、ここで年2回一般公開され、次は4月11日(日)だという情報をもらった。ここまで来た甲斐があったあったというものだ。このようにして、今回の源流探訪が実現したのです。
階段を下りてゆくと、きれいな清水が湧き出している。この辺は、環境庁の「名水100選」に選定された「お鷹の道・真姿の池湧水群」の一部であり、ここがちょうどその水の湧き出し口になっている。ペットボトルを何本も持った人や、ポリタンクを持った人たちが、湧き出し口でせっせと水を詰めている。
「名水100選」に選定された真姿の池湧水
小さな池だが、名水といわれる水を集めた池だけに澄んだきれいな水だ。
この池の少し先に、「お鷹の道」と呼ばれる細い道がある。なんということない道だが、この道を歩いてゆくと現在の国分寺と古代の武蔵国・国分寺跡を見ることができる。
真姿の池
これは、野川に架かる最後の大きな橋である。この広い自動車道を300mくらい登り、左に折れて少しゆくと、野川のもうひとつの源流といわれる真姿の池に行くことができる。
野川の最後の大きな橋
工事区間の先の野川は、一気に細くなる。どこまで拡幅するのかはわからないが、これから先は両側に民家が迫っており、工事はそう簡単にはいかないだろう。なお、野川歩きもこれから先は川に沿って歩くわけにはゆかず、できるだけ川から離れずに歩くのが精一杯となる。
一気に細くなる野川の流れ
さらにその少し先では、現在も川の拡幅工事が進行中である。
拡幅工事中の野川
5年程前にこのあたりを歩いたときは川幅は狭く、工事予定地には家が建っていた記憶がある。年月がこのような姿に変えた。
最近完成した野川拡幅工事
貫井神社はそこから近いので、ちょっと寄り道した。神社の本殿は階段を上った上のほうにあるが、階段の下に小さな池があり、そこに小さな滝が流れ落ちていた。
貫井神社の池
貫井大橋を過ぎて少し行くと、勢いのよい水が野川に注ぎ込んでいるところにつく。この水の元は貫井神社の池で、これも「はけ」の水を集めたものである。
野川に流れ込む「はけ」の水
しばらく歩くと、野川が暗渠化してしまう。これは前原小学校の校庭のために野川にふたをされてしまったものである。仕方ないので、この部分は迂回する。
暗渠化する野川
武蔵野公園が終わり、両岸に民家が建っているが、まだまだ野川らしさは失われていない。
武蔵野公園先の野川の風景
公園の西はずれ近くに、「くじら山」という子供が喜びそうな小さな山がある。この山の後ろ側一帯は、警視庁府中運転免許試験場となっている。
くじら山
この公園には、激しい雨が降ったときに雨水がすぐに野川に流れ込まないように工夫がされている。降った雨は地下に貯留され、後から時間をかけて野川に流してゆく。普段は普通の地面なので、見えない貯水池と名づけられている。
見えない貯水池
今日は、これから国分寺の野川源流探訪の予定なので、これから西武多摩川線で武蔵境まで出ることにする。野川からほぼ線路沿いに歩いて、新小金井駅まで徒歩約10分ほどである。
野川を渡る西武多摩川線
前方に西武線鉄橋が見えてくる
さらに少し行くと、前方に西武線の鉄橋が見えてくる。その手前が二枚橋である。
野川の景観を代表するような風景。さすがにこの付近は、のんびりゆっくりと歩きました。
野川公園を流れる野川
都立野川公園は、野川の両岸一帯に広がる広大な公園である。今日は天気もよく暖かいので、家族連れで大変にぎわっている。なお、左岸一帯は野川公園自然観察園となっており、四季折々の自然を観察できる。この付近だけでも1日ゆっくりと遊ぶことができる。
野川公園の様子
「はけ」から湧き出した水は、このような形で野川に注ぎ込む。これから先にはこのような個所がいくつか見られる。
「はけ」の水が流れ込むところ
さらに少し行くと、野川にはコンクリート護岸がなくなり、草つきの自然護岸になる。この辺から都立野川公園になる。
コンクリート護岸のなくなった野川
しばらく歩くと、前方左手に水車が見えてくる。階段を上ってゆくと、大きな水車が回っている。実際に水力で回っているわけではなさそうだが、昔このあたりにあったものを復元したのだろう。特に説明版はなかった。
復元された水車
中央高速の大きな橋を過ぎると、両岸には子供連れなどのファミリーの姿が多く見られるようになる。川自体にも楽しさを増すような工夫が凝らされてくる。
川の中に巨石を配す
京王線の鉄橋、甲州街道の下をとおり抜けると、両岸には桜の木が多くなる。ソメイヨシノはほとんど葉桜になってしまったが、八重桜はちょうど見頃である。ここまでにもソメイヨシノはたくさんあったが、満開のころは見事だっただろう。
両岸の桜
川辺の道を歩いてゆくと、やがて桜と菜の花が同時に見られる地点についた。調布市国領町付近である。喜多見から先は、すべて橋の下をくぐることができるので、車を気にすることもなく、景色を堪能しながら歩くことができる。
桜と菜の花(京王線国領付近)
清流と白鷺
川辺の道を歩く(明神橋上流)
この辺は、静かで広々としていて気持ちがよい。のんびりと川辺を散策する人も多い。
明神橋より上流方面を望む
明神橋付近の右岸(写真左手)には、小田急の車両基地があるのだが、建物の屋上を公園にして景観の調和を図っている。
明神橋付近
小田急線は、現在高架化の工事を行っており、野川の川辺も通行できないので、迂回する必要がある。
仲之橋(世田谷通り)より小田急線方面を望む
川辺には菜の花が咲き乱れ、遊歩道を歩いていても花の香りにむせ返るようだ。
岸辺に咲き乱れる菜の花
東名高速の下を通り過ぎ、しばらく行くと次太夫堀公園というちょっとした公園がある。その付近の遊歩道の様子。
野川遊歩道の様子(次太夫堀公園付近))
少し先の左岸側に仙川が合流してくる。仙川も野川と同じように小金井市から「はけ」の水を集めてここまで流れ下ってきたのだ。
野川と仙川の合流点
吉沢橋から先は、基本的には川沿いに遊歩道が整備されているので、道筋の心配をせずに気軽に歩くことができる。
野川右岸の遊歩道(上流方向を望む)
吉沢橋までの右岸は工事中で通行できないので、左岸の一般道を通って吉沢橋まで歩き、ここで橋を渡って右岸に移る。
吉沢橋付近から野川右岸を望む
中州から見た野川(下流方向を望む)
多摩川合流点(左多摩川、右野川)
大池から野川に続く水路
JR中央線下のトンネル水路へ
池からの放水量を調節する水門
大池(日立中央研究所内庭園)
大池の週辺に咲く桜
入り口から続く人の流れ
野川を歩く
JR中央線が国分寺駅を出て立川方面に向かう途中、右手に深い木立が見える。ここは、日立中央研究所のあるところで、野川の源流はこの研究所の敷地の中にある。したがって、通常は一般の人は探訪することはできない。しかし、それではあんまりだというわけで、年2回春と秋に研究所の構内を一般公開している。今年(2004年)は、4月11日(日)がその日にあたっており、せっかくのチャンスを逃すまいと私も見学に出かけた。
入場受付は10時から14時30分まで、開放終了は15時ということなので、13時半ころには入場し、構内(庭園)を散策した。入場者も多く、門からぞろぞろと人の列が続いている。一般企業の研究所ということで、建物とかコース以外のところは立ち入り禁止で、要所には会社のスタッフが立っている。研究所の本館建物のあるところから下ってゆくと、大きな池がある。この辺は恋ヶ窪といい、昔から大きな池があり一帯は湿地帯になっていたらしい。これを日立が1954〜1958年にかけて改造し、現在のような庭園に造園したのだという。一企業が占有するにはもったいないほどの広大で、立派な庭園である。
野川の源流探訪(JR中央線国分寺駅下車) 



野川を多摩川合流点から国分寺市の源流まで一気に歩いてしまいましたが、ここでご紹介したように野川は都内の中小河川では珍しく自然にあふれたすばらしい川です。全部歩きとおすのは大変だという方には、小田急線の喜多見駅(または成城学園駅)から野川に出て、川辺の道を野川公園まで歩くことをお勧めします。今の時期、連休のころなど季節的にはちょうどよいと思います。
なお、源流の探訪は、次回の一般公開が2004年秋が11月14日(日)、2005年春は4月10日(日)ということです。他の年も大体同じような時期に公開されるようです。
野川の見どころなど