第4日目  ツェルマット〜(氷河特急)〜アンデルマット〜(バス)〜フルカ峠〜(バス)〜グリンデルワルト(泊)
5:30頃目がさめた。カーテンを開けて外を見るとよい天気である。ここからは山は見えないので、早速着替えて山の見えるところまで行ってみた。見えた!マッターホルンがバッチリ見える。あわてて部屋に戻り、カメラを持って飛び出す。ホテルの前の広いテラスには、既に10人くらいの人がいて、皆、ものも言わずにシャッターを押している。私も夢中でシャッターを押しまくった。昨日は、どうしても顔のヴェールを脱いでくれなかったマッターホルンが今、顔を赤らめながら全貌をあらわしている。いよいよツェルマットの主役登場である。
顔を赤らめながら全貌をあらわしたマッターホルン(ホテル前にて)
今日は宿を移動するので、早めに荷物の整理を済ませ7:30には朝食をとる。今日の予定は、ツェルマットから氷河特急に3時間半ほど乗り、アンデルマットで下車。そこからバスでフルカ峠を越え、グリンデルワルトへ行く。ほぼ1日、電車とバスの旅である。
氷河特急は、ツェルマットからスイス東部の観光地サンモリッツまでを結ぶ鉄道である。スイスの山岳地帯を縦断し、終点のサンモリッツまで7時間半かけて進む。我々は、中間点辺りのアンデルマットで下車するが、約3時間半の間列車からの車窓風景を楽しむことができる。
ホームに入ると既に列車が入っており、我々を待っていた。座席は団体として確保されているので、あせる必要はないが、大きな旅行トランクを収納するのに男性たちが活躍した。この列車にも日本人団体客が大勢乗っているようだ。
ホテル前のテラスから見たマッターホルン(朝5:40頃)
9:30、列車は定刻に発車した。しばらく走って、駅でもないところで停車した。窓から見ていると、後のほうに列車が近づいてくる。あれ、連結するのかなと思っているとそうでもない。やがて、対向側から列車がやってきた。そうだ、この鉄道は単線なので、ここで2列車とも対向列車の通過待ちをしていたのだ。
再び発車すると、左側に大きな山崩れの跡が見えてくる。ここは、1991年に山が突然大崩壊し、岩石と土砂が川、鉄道、道路を埋め尽くした。川はすぐに池を形成し始め、ツェルマットまでが水没するとの報道が一時世界を驚かせたが、スイス軍が出動、総力を挙げて復旧したという。現在でも細かい砂礫の崩壊跡は見られるが、そのような大災害があったということが信じられないくらいに回復している。
ツェルマット駅の標高が1604m、そこから標高670mのブリーク駅まで約1時間半は下り一方で、,列車は川沿いの線路を快調に走る。やがて、列車は最初の停車駅ブリークに到着する。ここで列車は進行方向を変える。ブリークはこの辺では大きな町のようだ。ここで5分くらい停車した。
ブリークを過ぎると、列車は再びゆるい登りに転じ、車窓風景も牧草地帯が多くなる。家が点在し、いかにもスイスの農村といった風景である。
やがて、オーバーワルトという小さな駅に着き、5分くらい停車する。この少し先にフルカトンネルがあり、列車交換待ちをしていたようだ。フルカトンネルは長いトンネルで、通過に約12分かかった。トンネルを抜けると、我々の下車駅アンデルマットはもう近い。車窓からは、そばの花のような白い花が一面に咲いていた。信州、安曇野を思わせるような風景だ。
アンデルマットには12:50に到着した。ここでも男性たちが大きな旅行トランクを運び出した。アンデルマットはこの辺では大きな町で、標高は1400m以上ある。駅前のレストランで昼食をとったあと、バスでフルカ峠を目指す。列車のトンネルで峠を抜けたあと逆戻りし、バスで峠を越えるという感じだ。
食事の後は早速バスに乗り込み、バスの旅が始まる。バスはどんどん高度を上げ、町は次第に小さくなってゆく。町が見えなくなり、山の雪が間近に見られるようになるとフルカ峠はもう近い。
フルカ峠の頂上でバスを降り、自由散策。ここにはローヌ氷河があり、入場料を払えば氷河の中に入ることができる。この入場料はツアー代金には含まれていないので、各自買い求める。通常は5フランだと聞いていたが、この日は10フランだった。この氷河はそれほど大規模なものではないが、すぐ間近で見るとなかなか迫力がある。
氷河というのは、長年の雪の重みにより本体はガチガチの氷になっている。その氷をくりぬき、人が通れるようにして内部を見学できるようになっている。人一人通れるような狭い通路を通ってゆくと、中は広くなっており、氷の造形物なども置いてあった。通路には下に板が敷いてありすべる心配はない。
氷河からは大量の溶融水が流れだし、大きな川となってゆく。この峠からは、ローヌ氷河から溶け出した水が大きな川となってゆく様子がよく見える。氷河を源流とする川は、いずれも皆ミルク状に白く濁っている。これは、氷河によって細かく砕かれた岩の粒が水に混じるからである。スイスの川は、ほとんど源流が氷河なので、日本の川のように澄んだ川はあまり見られない。
峠からの景色を堪能したあと、再びバスで峠を下る。途中のバスの車窓から、氷河から流れ下る川の様子を下から見上げることができた。なんともダイナミックな光景だった。
バスは九十九折れの道でどんどん高度を下げたあと、再び同じような道を今度は登りに転じる。このような道は座席の右側の人も左側の人も同じ風景を均等に眺めることができ、非常に公平である。今度はグリムゼル峠を越える。この峠はフルカ峠ほどの高度と眺望はないが、ホテル、レストランが建っていた。ここは、バスで通過。周囲にはかなりの量の雪も残っていた。下ってゆく途中に、二つの小さな湖が見えた。
そのうちに心地よい眠りにさそわれて、気がついたらもうグリンデルワルト付近だった。グリンデルワルトに着いたのは18時頃。とりあえずホテルにチェックインし、夕食は20:30頃とのことなので、それまでは各自思いおもいに過ごす。我々の部屋は、この旅行ではじめてマウンテンビューの部屋だった。大きな窓からは、アイガーがバッチリ見える。前が芝生になっており、外に出ることもできる。早速テラスの椅子に腰掛け、アイガーを見ながらコーヒーを飲んだ。満足、満足。
夕食は、町のレストランでミートフォンデュを食べた。小さな肉を串にさして煮え立った油の中につけ、10〜20くらい数えたところで取り出し、いろいろなチーズソースをつけて食べる。しゃぶしゃぶみたいな食べ方で、なかなかおいしかった。夕食が終わったのは21時過ぎだったが、外はまだ明るい。日本の18時頃の感覚である。22時でようやく薄暗くなる感じで、日本とは3時間くらいの感覚のずれがある。
ホテルの部屋から見えるアイガー
グリンデルワルトの町の様子(ホテル付近)
峠の下り道から二つの小さな湖が見えた
グリムゼル峠はバスで通過
峠の中腹から見上げる川の様子 (バスの車窓から)
氷河の先端付近から見下ろす川の様子
奥は広くなっており、皆、思いおもいに写真をとっていた
氷河の内部。つるつるの氷だが、下には板を敷いてあるのですべることはない
氷河を間近に見ると、なかなか迫力がある
バスの駐車場から氷河まで少し歩く
バスの車窓から。フルカ峠はもう近い
バスはどんどん高度を上げ、町が小さくなってゆく
そばの花のような白い花が一面に咲いていた (アンデルマット付近にて)
我々の下車駅、アンデルマット
車窓からの農村風景
牧草地が続く車窓風景
最初の停車駅ブリーク。列車はここで進行方向を逆方向に変え、また、ゆるい登りになる
列車は川沿いを快調に走るブリークまで長い下りだ
1991年に大規模な山崩れを起こしたエリア
2列車まとめて列車交換待ち
氷河特急 (GLACIER EXPRESS)
出発前のひととき (ツェルマット駅にて)