奥多摩駅から西の方向へ少し歩くと日原川にぶつかる。川辺は遊歩道になっており、私が歩いた頃はちょうど桜が満開だった。少し上流に赤い橋(北氷川橋)がかかっている。ここまで歩いて橋を渡ると、橋からは川の様子がよくわかる。この辺一帯は氷川渓谷といわれ、観光スポットとなっている。日原川は雲取山に源を発する多摩川の支流である。橋を渡り右岸に移ると、だんだんと旅館や民宿などが増えてくる。奥多摩温泉郷として古くからの旅館なども多いようである。
奥多摩駅〜奥多摩むかしみち〜小河内ダム〜奥多摩湖 
約10Km
このコースでは、奥多摩駅付近から小河内ダム付近まで昔の青梅街道が「奥多摩むかしみち」として残されている。私は途中まで国道の青梅街道を歩き、途中から「奥多摩むかしみち」を歩いた。この道は小河内ダム付近で消滅してしまい、近くの山を高巻く道になる。
温泉旅館街を抜けると青梅街道に出る。実は、私は歩き始めたときには「奥多摩むかしみち」の存在を知らなかったので、奥多摩湖まで国道の青梅街道を歩きとおす覚悟はしていた。時折見える川の様子を楽しみに車の通行の多い国道を歩き、ようやく境橋に到達した。ここで御前山に向かう道が分かれる。山のガイドブックによれば、ここまで奥多摩駅からバスで10分の地点である。上橋から流方向を見ると、国道とは違う道が川に沿ってのびている。
国道はトンネルに入り、それを出ると国道に並行して古い道が通っている。川に沿って続いているようなのでこちらの道を行くことにした。始めのうちは、この道が「奥多摩むかしみち」とは知らなかったが、そのうち案内標識があり、それとわかった。普通の舗装道路で地元の生活道路といった感じだが、時折古い遺構なども現れ、それなりに風情も感じられる。これは、昔の青梅街道である。
しばらく歩くと、惣岳渓谷の説明板があった。「この辺りは昔からの大洪水により、しだくら谷から押し出した巨岩が累々として「惣岳の荒」と呼ばれ、渓谷美となっている」とある。その少し先には「しだくら橋」という素朴な吊橋が架かっている。さらにその先には「馬の水飲み場」が残されている。ここで馬方が馬にかいばを与え、一息入れたところ。三軒の茶屋もあったという。コンクリート製の水槽には、「東京府馬匹畜産組合」と刻まれてあった。
小河内ダムが近づくにつれて、むかし道は途切れてしまう。ダム工事により古い道は消滅してしまったのである。道筋はよく覚えていないが、中山集落を通り急な山道を登った。途中、小河内ダムの全容がよく見えた。
ところで、例の大内さんはこの巨大なダムをどうやって乗り越えたのだろう。この方の遡行の前提はできるだけ水線から離れないということだから、結果的にダムの近くを攀じ登ることになるのである。ダム工事で削り取った不安定な植生の崖を100m近く登った。しかも、3分の2ほど登ったところで、上のほうから突然スピーカーで「そこの崖を上っている人、危ないからただちにやめなさい」というお叱りを受けてしまった。登りきったところで森の中に逃げ込み、昼飯を食ってしばらく昼寝してほとぼりを冷ましたという。
さて、私は奥多摩湖畔への山道を進むが、やがて水根地区に着く。この付近は山上公園となっており、展望台からの奥多摩湖の眺望は素晴らしかった。山を下りダムサイトを散歩しバスで帰途につく。
多摩川を歩く13
遊歩道から北氷川橋を望む
橋からの日原渓谷の眺望
日原川遊歩道
馬の水飲み場(奥多摩むかしみち)
しだくら橋
惣岳渓谷
奥多摩湖(ダムサイト方面)
小河内ダム(主ダム)
小河内ダム(放流ダム)
奥多摩駅近辺の多摩川、日原川の渓谷美もなかなか捨てがたい。奥多摩温泉郷に一泊してのんびりと付近を散策するのも良いかもしれない。「奥多摩むかしみち」は旧青梅街道で、私は事前勉強不足で途中から歩き始めたが、奥多摩町のすぐ近くから始まっているようである。ほとんど国道を歩かずに奥多摩湖まで行くことができる。地元の人の生活道路でもあるのだが、要所には説明板も立っており観光客への配慮もある。奥多摩湖の水は通常期は東京都民の必要な水の20%をまかなっているという。湖底に沈んだ人々の苦難の歴史がしのばれる。





見どころなど
国道から時折見える多摩川の流れ
青梅街道に架かる境橋
境橋から多摩川上流方面を望む