一の瀬高原民宿〜中島川口登山道〜黒エンジュ〜水干(ミズヒ)〜笠取山〜雁峠〜新地平バス停  約14Km  
民宿「しゃくなげ」を7:30ころ出発した。この民宿の裏には大きなしゃくなげの木があり、ピンクの花が咲いていた。ここから50mくらい先にこの地区のもう1軒の民宿「みはらし」がある。今朝はかなり冷え込み、吐く息が白い。靄がかかっているが、予報では雨は降らないことになっている。
林道を30分くらい歩くと、中島川口登山道入口につく。近くの路傍には、5,6台の車がとめてあった。ここまで車で来てしまえば、笠取山は首都圏から十分日帰りできる。また、ここにはゾーン全体の大きな案内図、そしてコースには親切な標識が整備されているので道に迷う心配はない。入口から約1時間ほど歩くと、黒エンジュ分岐に着く。ここにはベンチも置かれている。
さらに樹間の道を進む。この辺り一帯は、東京都水道局の所有で、「源流の道」としてよく整備されている。現在は立派な天然林も明治の初期頃には荒廃し、水源林としては憂慮すべき状態だったという。これに危機感を抱いた当時の東京市長尾崎行雄が現地を視察の上、付近の山林を買い上げ自ら整備に乗り出したという話は、昨日見た碑のとおりである。森林破壊が進行中の途上国の人々にも伝えたい話である。道はシラベ尾根分岐を過ぎ、水干尾根分岐で笠取山頂上への道と水干に至る道に分かれる。ここから水干までは約300mほどである。
水干の標識からさらに20mくらい先に、水場口に下りてゆく道が分かれる。この道を50mくらい降りてゆくと、先ほどの水干でいったん地中に染み込んだ水が再び地中に現れ、流れ出している地点を見ることができる。
水場口の様子
水場口から地表に現れた水は、ここから沢となって流れる。多摩川はここから始まるといったほうが視覚的にはわかりやすい。(水の量によって場所は変ってしまうのだろうが)
水場口から下流方向の水干沢
水干周辺を十分に見学した後、もとの笠取山への道に戻り、笠取山を目指す。道は次第に細い尾根道になるのだが、ガスっていて遠くが見えないので、尾根歩きという気はしない。しゃくなげの木がたくさんあったが、まだ花の季節には早く咲いてはいなかった。やがて、笠取山の標識が現れた。あれ、これが頂上?という感じである。狭い上に周りが木で覆われているので、眺望はよくない。
さらにそこから岩場を少し下ったところにまた「笠取山 山梨百名山」という標識が現れた。こちらは山梨県が立てたらしい。先ほどのは、環境庁・埼玉県となっていた。笠取山を表側(作場平方面)から登ってくると、ここが頂上と勘違いして戻ってしまう人が多いらしい。確かに、こちらのほうが頂上らしい雰囲気がある。
下に降りてからしばらくすると、ガスが晴れる兆候が見えてきた。時刻も11:30ころ、ちょっと早いがここで昼食にして様子を見ることにした。実は、ここからの下山路をどうするかまだ決めていなかったので、ここでじっくりと考えることにする。ここからは、作場平に降りるのが時間的には一番早い。しかし、そこから先の足は保証されない。うまくタクシーの相乗り客がいればよいが、いなければ一人でタクシーを呼んで、9000円くらいのタクシー代を払わなければならない。もうひとつの道は、ここから雁峠を越えて新地平まで歩くコースである。こちらだと時間はかかるが、バス停がすぐそばにあるので足の心配はない。
食事をしている間にガスが晴れ、青空が広がってきた。頂上にいるときにこの天気だったらよかったのに〜。でも、この天気の急変で下山路も決まった。雁峠を越えて新地平に降りよう。
昼食も終わり雁峠に向かって少し登りかえすと、小さな分水嶺というのがある。この小高い丘が多摩川、荒川、富士川の三つの川の分水嶺になっているのだという。
さらに、なだらかな斜面を少し行くと雁峠である。午前中の天気がうそのように晴れ渡り、青い空となっている。背後には笠のような形をした笠取山がくっきりと見える。
雁峠を少し降りたところに小さな水場がある。ここから小さな川が発しているのだ。これは、富士川の支流になる広川の源流のようだ。これから先の下山道はこの川に沿ってつけられている。この道を降りてゆくと、細い川が次第にさらに細い枝流を集めてだんだんと大きくなってゆく様がよくわかる。一の瀬川で観察できなかった源流からの成長の様子がよくわかって楽しかった。途中、何回か川の渡渉個所があるが、石が並べてあり、足をぬらすことはない。
このような渡渉個所が何箇所かある
登山道と沢が同じになっている部分
雁峠直下の広川(富士川支流)の源流
下山路は、次第に広い立派な林道になってゆく。この道は亀田林業の林道で、もちろん一般の車は通行できない。舗装はしていないが、休日なので作業の車も通らず土ぼこりに悩まされることもなく快適である。
やがて下に広瀬湖が見えてくると林道も終点となり、バス通りを左に曲がったところが新地平のバス停である。バス停の到着は14:10ころだった。ここから、JR中央線塩山駅までは約50分ほどである。
(参考コースタイム)
一の瀬高原キャンプ場、民宿--(30分)--中島川口登山道入口--(1時間20分)--黒エンジュ分岐--(40分)--水干--(30分)--笠取山山頂を経て雁峠分岐
⇒(2時間30分)--雁峠から亀田林業林道経由で新地平バス停
あるいは
[⇒(1時間30分)--笠取小屋経由で作場平。ここからタクシー
]
林道終点付近から広瀬湖を望む
亀田林業林道と広川の流れ
新地平へ下る道の方向には、大菩薩嶺の大きな山塊が見えた。もっと晴れれば富士山も見えるのだろうが、残念ながら見えなかった。
雁峠から大菩薩嶺方面を望む
ここから見る笠取山は、本当に笠のようだ。山の裏側の様子などは想像もできない。
雁峠から見る笠取山
笠取山頂上(標高1953mの標石がある)
しゃくなげのある尾根道
水干への道
シラベ尾根分岐
黒エンジュ分岐
中島川口登山道入口
多摩川を歩く17

昨日に引き続き多摩川源流点を目指す。

多摩川源流・水干(ミズヒ)周辺の様子
水干への道を少し行ったところで視界がパッと開ける。あっ、あそこが源流なんだと、まず思った。次に、ずいぶん整備というか、改造というか手が加えられているなと思った。そのうち「は〜るばる来たぜ、源流・・・」という思いがこみ上げてきた。
多摩川を歩き始めてから6年以上経ち、多分に気が抜けてしまったゴールだが、それなりに感激はあった。とうとう多摩川の河口から源流まで、とにかく歩いて到達したのだ。到達はちょうど10:00だった。
大きな岩の下に水をたたえた岩鉢がひっそりとある。この岩鉢が多摩川の源泉とされる。多摩川の水源調査が正式に行われたのは、明治11(1878)年、東京府吏員山城裕之によってだった。その後、大正7年に水神が祀られ、水干が多摩川の源泉に定められたという。
大きな岩の下の岩鉢
「 多摩川の源頭 東京湾まで138Kmと記されている上部の大きな岩の上に水神社が祀られているらしいがよくわからなかった。ここは、笠取山の直下、標高1865mの地点である。
水干の標識
頂上からの下り道は、かなり急な直登道である。登りは結構きついだろうが、下りは走るがごとくに降りてしまった。下に降りて、食事をしていたらガスが晴れ、青空が広がってきた。
下から見上げる笠取山
表側から見える笠取山の頂上。ここには山梨県の立てた「笠取山 山梨百名山」という標識がある。実際の頂上はこれからもう少し先であるが、こちらのほうが頂上らしく見える。晴れていれば眺望はよいのだろうが、あいにくガスのため遠くはまったく見えなかった。
笠取山「頂上」
今日のコースの見どころは、なんといっても多摩川の源泉・水干とその周辺の景観です。笠取山登山に来た人は登山のついでに水干を見学するということになりますが、私の場合は水干を見にきたついでに笠取山に登ったということになるのでしょうか。意気込んできた割には、こんなもんかという感じもしないではありませんでしたが、私としては満足しました。河口から源泉まで歩きとおしたという満足感だったかもしれません。
私は、多摩川歩きをこれで終わりとはしないつもりです。私の一番身近な川として、これからも四季折々の姿を見つめてゆきたいと思っています。多摩川は、それだけの魅力のある川です。このホームページでも、随時、追加変更は行いたいと思っています。

             
2004.5.16  尺取虫  記





見どころなど
へえ〜、本当?と思うが、実際にこの付近から発する沢筋はそれぞれの川に通じているのだろう。なんともロマンがあって面白い。
小さな分水嶺標識の立っている辺り
ここに降った雨は、ちょっとの差で多摩川、荒川、富士川に分かれるのだという。ちょうどそんな地形なのだ。
小さな分水嶺